(1)イスラム教では豚肉を食べることは禁じられています。私たちはしばしば、「なぜ、ムスリムの人は豚肉を食べないのですか」とたずねられます。
ご存知のように明治維新までは、日本人も、4つ足の肉を食べたらけがれるといって、一部の人をのぞいて、ほとんどの人は獣肉を口にしませんでした。豚肉は中国から伝わってきたと思われます。第二次世界大戦後、アメリカ人のまねをして、ほとんどの日本人が、豚肉を食べるようになりました。しかし、今でも日本の一部の家庭では昔からの習慣で豚肉を口にしないと聞いています。 豚肉の欠点について書いてある本も、日本ではかなり出版されているようですが、社会の大勢におされて陰が薄いようです。
(2)日本人はなぜ、豚肉を食べるのか、その理由を考えてみました。
- 現代的と思われたいため。
- 豚肉は安いため。
- 皆が食べているから、つまり豚肉が悪い食物であると考えたこともないから。
- 養豚業界の力が大きく、医師が豚肉の害を唱えても反対されるから。
- 豚肉を食べることをやめると自給率の低い牛肉と鶏だけでは肉の需要はまかなえず、牛肉の輸入が増えるので、政府は豚肉の害について公表しないから。
- 国民は豚肉の害について無知であるから。
(3)豚肉を食べないということについて根本的に考えてみましょう。 私たちはなぜ飲食するのでしょうか。それは、成長と健康のためです。食べたもののほとんどは私達の血や肉となり、残ったものは排泄されます。私達の血や肉の性質は食物によって変わります。
柔らかいものを食べると、人間の性格は柔らかくなり、堅いものを食べると、堅くなるそうです。自分が食べているものの特性を人間は知らなければなりません。なぜかというと、けがれた食物を食べると、自分もけがれるからです。
(4)まず、宗教を信仰している人のためにお話しましょう。
昔から、人間と豚肉の問題はしばしば論議されてきました。全ての宗教は豚肉を食べることを禁じています。
例えば、ヒンズー教、仏教では豚肉はもちろん全ての肉を口にすることはできません。またユダヤ教、キリスト教の人々に対して、聖書では、豚肉を食べることはおろか、さわってもいけないと次のように記してあります。
・「豚は蹄(ひづめ)はわかれているけれど、反すうしないので、あなたたちには汚れた物なのです。あなたたちはこの肉を食べてはいけません。またその死体に触っても、いけません。」(申命記十四章八節)
・イスラム教でも豚肉が禁じられているということはクルアーンにはっきりと書かれています。(二章一七四節)
(5)豚の名前について考えてみましょう。 昔から、多くの言葉で豚といのは、不潔という意味をもっています。
1.アラビア語では豚は“ヒンズィール”といわれ、“ヒンズ”と“アラ”という二つの単語からできています。辞書によると“ヒンズ”は“不潔”、“アラ”は“私が見る“という意味です。
2.サンスクリット語では豚は、“スーワル”といわれ、やはり二つの単語“ス”と“アラ”でできていて、“ス”は“悪い”、“アラ”は“私は見る”です。
3.英語では“ピッグ”といわれています。米語辞典ウェブスターには次のように記されています。
A PERSON LIKE AS
ACTING OR LOOKING
LIKE A PIG, GREEDY OR
FILTHY PERSON
“豚のような行動をしたり、欲深く、汚ない人のことをピックという。”
4.英語では“スワイン”(SWINE)ともいいます。
A VICIOUS AND CONTEMTIBLE PERSON
“意地悪でねたみ深く最低の人”という意味です。
5.スワインはもともとアングロ・サクソンのSWINからきたことばで、OMNIVOROUS MAMMAL “何でも食べる哺乳動物“という意味です。
6.英語では“ホッグ”(HOG)ともいわれます。
SELFISH, FILTHY, GLUTTONOUS CORSE
つまり、欲深かで大喰らい、無教養、きたない“という意味です。
7.日本語では、“豚”ですね。日常会話で、汚い部屋のことを「ブタの小屋のようだ」とか大喰らいの人を指して「ブタのような人だ」といったりします。
いままでみてきたように、こんなに多くの国できたないという意味をもっているのは、何らかの理由があるのでしょう。
(6)豚の特性について考えてみると、他の動物について考えてみると、他の動物にはない点がたくさんあります。
- 共食いする
- 同性愛である。
- けんか好き
- 壁などに自分の頭をぶつける
- 自分の居場所をきたなくする。
- 何でも食べる
- 人の排泄物を食べる
- 妊娠期間が他の動物に比べて短い
- 馬 336日
- 牛 282日
- 羊 150日
- 豚 114日
(7)医学的な立場からみてみましょう。 1.ご存知のように人間の血液中のコレステロールが増えると心臓病になりやすいです。アメリカ・イギリスではコレステロールのために多くの人が心不全で死亡しています。イギリスだけでも毎年17万人の人がCORONARY ARTERY で死亡しています。 豚肉は他の肉よりも脂肪が多いということは以下のとおりです。
- 牛乳 4%
- 牛肉 15%
- マトン 20%
- ハム 13%
- 豚肉 30%
- ベーコン 35%
- 豚カツ 40%
2.1966年に50頭の健康な豚を殺したが、すべての豚にATHERO SLLEROSIS という心臓病があることがわかった。
3.豚肉にはバイキンがあって腐りやすい。ポークソテーの場合は常に充分に火を通さなければならない。
4.豚肉を食べると、高血圧になりやすい。
5.他の肉に比べて、豚肉には、サルモネラ菌と、クロスステレディ菌が特に多く、食中毒になりやすい。
6.TRICHINOSIS という菌があって、肩こりの原因となっている。アラスカ、ニューヨーク、カリフォルニア、北アフリカに多い。
7.BRULLOSIS 菌は頭痛、熱、体重減少の原因となる。
8.1918年 SWINE INFLUENZA (豚インフルエンザ)のため、2000万人の人が亡くなり、1957年に再び流行した。この菌についてはまだ研究中である。(※1985年発行現在)
9.OCCUPATIONAL DISEASE OF FARMERS菌が日本を含めていろんな国でみつかったと1961年にWHOから報告されている。
10.PICORNA菌のため、口と足に水虫の様なものができる。
11.たくさんの小学生が原因不明の発熱に苦しんでいるが、それは給食に使われる豚肉のせいだと学者は述べている。
著者:マグフル・アハマド・ムニーブ発行:1985年7月
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